グリーンエネルギー・風力発電はクリーンエネルギーか?

伊豆半島の風力発電事業の実態

菊池 寛


map 私が最初に「風力発電」の問題を知ったのは、三年前、長野で行われた「白いアナグマの祭り」でだった。それまで私も原発に替わるクリーンエネルギーとして風力や太陽発電などを考えていたので、何故風力発電が問題なのかよく理解していなかった。ところが実際に祭り会場に行ってこの問題を知るにつれて、風力発電事業というのはむしろ原発の発電事業と根は一つのダークな部分が多い事がわかってきた。
 まずお金の問題である。膨大な予算が毎年新エネルギーの技術開発プログラムのために組まれ、我々の税金が注ぎ込まれている。(平成20年で1兆円以上)事業者からの申請はかなり安易に認められ、総事業の1/3が国から補助される仕組みになっている。このおいしいエサ大資本の会社が共同出資という形で参入している。業者はとにかく建設さえすればもうかるシステムになっている。
 次の問題点は大規模な自然破壊である。静岡県は知事が「風トピア」宣言をして、積極的に風力発電事業を誘致している。伊豆半島は風資源が得られる場所として既に106基以上の風車の建設が計画されている。(既設15基)私の住んでいる南伊豆町では石廊崎という伊豆半島の最先端にあたるすばらしい自然の残っている所に17基の建設が始まっている。ほんのわずかに残った天然自然の森を伐採して、幅8m〜10mの道路が作られ、大型ダンプが頻繁に行き交うようになっている。巨大な人工物、高さ118m(ビル30階建てに相当)、風車の直径80mを建設するために貴重な自然、母なる大地が破壊されている。現場に立って見ると、その痛々しさは本当に耐えきれない。まず建設段階でものすごい自然への破壊行為がなされ、植物、動物、さらに海に対する影響は計り知れない。今後、基礎工事が始まると大量のコンクリートや六価クロム(地盤強化剤として使用される)の入った汚水が雨水と共に海に流れ込むだろう。現に一度、大量の泥水が海に流れ出して、漁業関係への影響が心配されている。しかも風車の耐用年数は僅か17年なので、その撤去にもまた大がかりな工事が必要となる。驚く事にはその基礎部分はそのまま放置して半永久的にその土地に残ってしまうという事だ。建設と撤去だけでもCO2の排出量は相当なものだと思われ、全く地球温暖化防止にはならない。
 三番目には建設された後に生じる低周波や騒音の問題がある。特に低周波に関しては電磁波と同じように日本ではまだ法規制がなく、環境省も人や自然環境に対する影響を過小評価している。既に風車が建設された東伊豆町の住民からは健康被害が40人以上報告されている(半径5kmにも及ぶと言われ、人間だけでなく動物にも影響して生態系を破壊する)。このようにグリーンエネルギーとして期待されている風力発電事業は全くクリーンエネルギーではないという事だ。詳しくはホームページを参照して見て下さい。
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連絡先:415-03213 静岡県賀茂郡南伊豆町下小野888 菊池寛 Tel./Fax. 0558-62-7515


●ではどうするか‥‥
 大量のエネルギー消費を前提とした大規模な自然エネルギーの開発は自然環境へのインパクトが大きく考えなおす必要があります。自然エネルギーへの移行は自然環境への悪影響を最小限に留めるように小中規模にし、地域分散自給型を中心に進めていくのが良いのではないでしょうか。
 日本の発電所の稼働率は58%、ドイツ・北欧の72%と比べて大変低いです。稼働率をドイツ・北欧並に上げた場合、25%の発電所は不要になります。
 省エネ技術やエネルギーの効率的な利用によりエネルギー消費を減らしていくことができるはずです。自然との共生を第一に考えて自然エネルギーへ移行していくことが私達の世代の役割ではないでしょうか。 (村上幹智雄)